和集合

Definition 4.2.1.1 (和集合).

2つの集合 が与えられたとき、 の元と の元をすべて集めて得られる集合

和集合という。

記号 結び、join、cupなどと呼ばれる。 たとえば、 を正の偶数全体の集合、 を正の奇数全体の集合とすると、

基本的な性質

包含関係

Proposition 4.2.1.1 (和集合の包含関係).

とする。 Definition 4.2.1.1 (和集合) から、 を満たす。 が正しいから、Definition 4.1.1 (部分集合) より、 が示された。

同様に、 から が従い、

上位集合閉包

Proposition 4.2.1.2 (和集合の上位集合閉包).

とする。 Definition 4.2.1.1 (和集合) から、 または が従う。 のとき、 から を満たす。 同様に、 のとき、 を満たす。 が正しいから、Definition 4.1.1 (部分集合) より、 が示された。

Proposition 4.2.1.1 (和集合の包含関係) より、 をどちらも含む。 また、Proposition 4.2.1.2 (和集合の上位集合閉包) より、 も含む任意の集合は、 を含む。 したがって、 は、 の両方を含む最小の集合であると言える。

冪等律

Proposition 4.2.1.3 (和集合の冪等律).

とする。 Definition 4.2.1.1 (和集合) より、 または が従う。 よって、 から、。 また、 から、。 したがって、

交換律

Proposition 4.2.1.4 (和集合の交換律).

とする。 Definition 4.2.1.1 (和集合)より、 または が従う。

のとき、

のとき、

よって、 であるから、

同様に、 とすると、 が従う。 よって、

したがって、

結合律

Proposition 4.2.1.5 (和集合の結合律).

とおく。 Definition 4.2.1.1 (和集合)より、 または が従う。

または または

または

よって、 が示せた。

同様に、 とおくと、 が従うから、 が示せた。

したがって、 が示された。

結合律の一般化

Proposition 4.2.1.6 (和集合の結合律の一般化).

一般に、 個の集合 があるとき、 という表現のどこにどのような順序で括弧をつけても、結果として得られる集合は同じ

自分で書いた証明は証明になっていなかったのでチャッピーに教えてもらった。 仮定を適用できる範囲が自分が思っていたより広かった。

任意の括弧の付け方をした式 は、常に集合 に等しいと仮定する。

任意の括弧付き表現 の下で、必ず を用いて、次のように表せる。

仮定より、 が成立するから、 Proposition 4.2.1.5 (和集合の結合律)より、 は括弧の付け方によらず結果は同じ集合となる。

したがって、Proposition 4.2.1.6 (和集合の結合律の一般化)は数学的帰納法よりすべての で成り立つ。

結合律の一般化が成り立つので、括弧を省略して次のように表してよい。

包含と和集合の同値命題

Proposition 4.2.1.7 (包含と和集合の同値命題).

ならば、 かつ であるから、 Proposition 4.2.1.2 (和集合の上位集合閉包)より、。 また、Proposition 4.2.1.1 (和集合の包含関係)より、。 よって、 が成り立つ。

また、 ならば、Proposition 4.2.1.1 (和集合の包含関係)より、 であるから、。 よって、 が成り立つ。

したがって、Proposition 4.2.1.7 (包含と和集合の同値命題)は示された。

単調性

Proposition 4.2.1.8 (和集合の単調性).

Proposition 4.2.1.7 (包含と和集合の同値命題)より、。 また、 ならば、Proposition 4.2.1.1 (和集合の包含関係)より、Proposition 4.2.1.5 (和集合の結合律)より、

したがって、 が示された。

チャッピーがもっと賢い証明を教えてくれた。 自分が書いた証明は嘘ではないけど冗長っぽい。

Proposition 4.2.1.1 (和集合の包含関係)から、。 また仮定から、

Proposition 4.2.1.2 (和集合の上位集合閉包)より、 となり、示された。

かしこ!全く思いつかなかった。

恒等律

Proposition 4.2.1.9 (和集合の恒等律).

Proposition 4.2.1.5 (和集合の結合律)より、示したい命題を に同値変形する。 また、Proposition 4.2.1.3 (和集合の冪等律)より、。 よって、示したい命題は に同値変形できるが、これは自明。

したがって、 を示せた。

教科書を読んでいたら Proposition 4.2.1.7 (包含と和集合の同値命題)を使っても示せることが書かれていた。 結構感動した。

任意の集合 に対して、 であるから、 Proposition 4.2.1.7 (包含と和集合の同値命題)より、。 よって示された。