集合

範囲のはっきりしたものの集まりを集合という。 集合は普通、ラテン大文字で表される。 幾何学的表現を用いて、集合を空間、その元をと呼ぶこともある。

が1つの集合であるとき、 に含まれる個々のものを 元素要素とも)という。 もの が集合 の元であることを、、あるいは で表す。 このことを、属する含まれる含むなどという。

の否定は、、または で表す。

はいずれか一方だけが成り立ち、両方同時に成り立つことや、両方同時に成り立たないことはない。

無限に多くの元を持つ集合を無限集合、有限個の元しか持たない集合を有限集合という。 また固有名詞的に、自然数全体の集合を 、整数全体の集合を 、有利数全体の集合を 、実数全体の集合を で表す。

が集合であるとき、どんなもの を取ってきても であるか であるかは定まっているが、その判定問題が容易に解けるかどうかはまた別問題。

変数と条件

考察の対象となるものを代表的に表す文字を変数という。 変数が表す対象は任意で、数値だけではない。

また、変数を含む文章をその変数についての条件または性質という。 条件 が変数 についての条件であることを明示したいとき、 と表す。 ある具体的なもの に代入して得られる文章 が正しいとき、 は条件 を満たす、または は性質 をもつ、という。 条件 を満たすようなもの全体は1つの集合を形成する。

記法

一般に、元 より成る集合を以下のように表す。 これを外延的記法という。

ただし、この記法はすべての元を列挙するか、簡単に 部分が推測できるような集合でなければならない。 そこで、ある条件を満たすもの全体の集合、ある性質を満たすもの全体の集合を表現できる、内包的記法を用いる。 条件 を満たすようなもの全体の集合を、次のように表す。

たとえば、 を両端とする の閉区間は 、開区間は である。

空集合

元を全く含まない集合を空集合という。 空集合は 、あるいは外延的記法では と表す。 たとえば、 は空集合。

空集合 は元を含まないから、 である。

相等

集合 は、全く同じ元から成るとき、すなわち以下が成り立つときに等しいという。 これを、 と表す。

同等

2つの文章 が与えられたとき、 とは、 が正しいときに もまた正しいことを示す。 また、 も成り立つとき、 と表せて、 は(論理的に)同等であるという。

部分集合

Definition 4.1.1 (部分集合).

集合 において、以下を満たすならば 部分集合であるといい、 または と表す。 これを、含まれる含むという。

その否定は、、または と表される。

であるとき、真部分集合であるという。

であるための必要十分条件は、 が成り立つことである。 もし2つの集合が同等であることを証明したければ、両向きに部分集合であることを示す。

が成り立つことも明らか。

空集合と部分集合

空集合 は任意の集合 の部分集合である。

これは、含意を用いて証明できる。 を示すためには、 を示す必要がある。 ここで、 であるから、常に正しい。 したがって、元の式は正しい。